『クレーの絵本』パウル・クレーの絵と谷川俊太郎の詩|石井講次の おすすめ絵本バンザイ
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『クレーの絵本』パウル・クレーの絵と谷川俊太郎の詩

『クレーの絵本』
 絵 パウル・クレー
 詩 谷川 俊太郎
 出版社 講談社
 発行日 1995年10月12日
 対象年齢 大人から
 評価 ★★★★

『クレーの絵本』の内容

 以前紹介した『クレーの天使』と同様にパウル・クレーの絵画40点。その絵に合わせ谷川俊太郎が描き下ろした詩が14篇収録されています。

 『クレーの天使』の紹介記事はこちら

 『クレーの天使』は天使シリーズを中心に殆どが1939年に制作されたものですが、『クレーの絵本』は1918年から1940年まで初期のから晩年まで幅広い作品が収録されています。

世界の理をキャンパスに塗り込めたパウル・クレー

 私はパウル・クレーの絵が大好きです。

 今回の記事を書くにあたって、クレーについて勉強することにしました。クレーの書いた本を2冊を読んでみました。

クレーの日記
パウル・クレー
みすず書房

 クレーの日記は子供時代から1918年(パウル・クレー38歳)までの日記、手記が収録さえている。自分のこと、家族のこと、戦争など自分の体験とそれに対する考察。芸術、自分を表現する物を生み出す苦しみ、格闘する様子が克明に記されています。

 そして、苦しみの末生まれた理論が造形思考に収録されています。

 正直、一度読んだくらいでは理解できないことが殆どですが、クレーの絵に対する姿勢について発見というか、「こんなことを考えていたんだ。」と唸らされてばかりでした。

 クレーは若い時、音楽家であり、詩人であり、造形芸術家でした。どの分野にも才能がありましたが、クレーは造形芸術に一番の才能と希望を感じて力を注いでいきます。

 そして、クレーは貪欲に色々なことを勉強して吸収していきます。他の作家の作品や手記は勿論、光学、色彩学、解剖学、建築学・・・。絵を向上させるのに必要だと思ったことは片っ端から吸収して消化していきます。

 そして、早い段階から子供の絵のもつ独特な価値を認識し、キュビズムそして抽象へと傾倒していきました。

 クレーの凄いところは、抽象とは、線やフォルム、そして色の持つ意味を理論化、体系化していることだと思います。

 私はもっとインスピレーションで描かれているのかと思っていました。造形思考を読んで、飛び上がるくらい驚きました。驚いたあとに「これほど深く探求された結果生み出された理論が背景にあるから、あれほど心を揺さぶる絵が生み出せるのだな。」と、納得しました。

 谷川俊太郎さんはそんなクレーの絵に対してこう言われています。

 クレーの絵に現れているものは、私たちがふだん目にしているものとは違う。たしかにそこには文字や人のかたちや植物らしきものが描かれてはいるが、それを言葉にしようとすると私たちはためらう。言葉で彼の絵をなぞることは出来ないと私たちは思う。クレーは言葉よりもっと奥深くをみつめている。それは言葉になる以前のイメージ、あるいは言葉によってではなく、イメージによって秩序を与えられた世界である。そのような世界に住むことが出来るのは肉体ではない。精神でもない、魂だ。

引用元:『クレーの絵本』p61

 クレーの日記、造形思考を読んで、これは線やフォルムや色の持つ力と、そして私たち含む世界への深い思考の末にやっとたどり着けるものなのだと思い知らされました。常人ではたどり着けない世界です。

 そして、計り知れない苦しいみと格闘と研究の末に生み出された作品を鑑賞できることを幸せに思います。

 クレーは鑑賞方法についても言及しています。

 絵は、なんの関連も経過もなく、突然に成立するものだろうか。いや、そうではない。絵は歩一歩、構築される。まさに家と同じである。
 したがって、作品をみる方の側でも、いっぺんに作品を理解しようなどと考えることは慎まねばならぬ(残念だが、ときとしてそんな鑑賞のされかたがされることは事実である)。

引用元:造形思考(上) (ちくま学芸文庫) パウル・クレー p166

 見るたびに色々な印象を与え、そして色んなことを考えさせてくれるクレーの絵。皆さんにもぜひとも楽しんでもらいたいです。

 クレーの絵に触発された谷川俊太郎さんの詩もとても素晴らしいです。絵と詩が合わさることで、また違う景色が見えるというか、私の心にべつのイメージと言葉が浮かび上がってきます。

クレーの絵本
パウル・クレー
講談社

 気の向いた時に、気の向いたページを気の向くまま眺めるのをおすすめします。

バンザイ

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