賛否両論!話題の寝かしつけ絵本『おやすみ、ロジャー』|石井講次の おすすめ絵本バンザイ
スポンサーリンク

賛否両論!話題の寝かしつけ絵本『おやすみ、ロジャー』

『おやすみ、ロジャー』
 著 カール=ヨハン・エリーン
 監訳者 三橋 美穂
 出版社 飛鳥新社
 発行日 2015年11月25日
 対象年齢 6歳から
 評価 ★

寝かしつけ絵本『おやすみ、ロジャー』ってなに?

 今回おすすめする絵本は、行動科学者のカール=ヨハン・エリーンが心理学と行動科学の理論に基いて、寝付きの悪い子供を寝かしつけることを目的として書き上げた『おやすみ、ロジャー』です。

 2010年にスエーデンで自費出版されました。
 好評のため、英語に翻訳。あまりの効果に口コミで広まり、メディアにも取り上げられ人気爆発。世界へ飛び火してイギリス、アメリカ、カナダ、フランス、スペイン、イタリアでアマゾン総合ランキング1位。世界40カ国で刊行予定。もう、勢いが止まらないのです。

 日本でも刊行され、メディアや有名人の方が大絶賛してバカ売れしていますね。

 しかし、ネットでの評価を見ると絶賛する方と非難する方にクッキリ分かれています。
 私も評価は★1つ。最低評価を付けさせていただきました。しかし、皆さんにおすすめしたい!という気持ちが強いため、ブログで取り上げることにしました。

 なぜ、私は最低評価のこの絵本をおすすめするのでしょう?

 その一見矛盾するようなこの行動の理由を解き明かしていきたいと思います。



絵本としての魅力はゼロ!だって絵本では無いのだから。

 私が最低評価を付けた理由は2つです。
  • 子供の理解しづらい、やさしくない作り
  • 心理テクニックを重視するあまり、支離滅裂なストーリー

子供が理解しづらい、やさしくない作り

 経験も知識も少ない子供は文章を聞いて映像化して理解することが大変です。そのため絵本は、絵や分かりやすい文章の力を総動員して子供の理解を助け、お話の世界へ連れて行ってくれます。

 しかし、著者のカール=ヨハン・エリーンさんは行動科学者、訳者の三橋 美穂さん快眠セラピストのため、絵本の作法、技術の部分が弱く、子供にはとても理解しづらい作りになっています。つまり、子供は理解しようとすることに精一杯で、お話の世界へ入り込めないのです。

まずストーリーの理解を助ける挿絵がありません。

 23ページに渡り、物語が書かれれているのですが、挿絵は10枚。新しいキャラクターが登場する際に、どのようなキャラクターか描写されている程度で、場面描写しているものは内4枚。

 これでは、絵が子供の理解を助けてくれることはありませんし、子供の興味を引くようなこともありません。
(絵本における絵の重要性については『えほんのせかい こどものせかい』『かれえだ』の紹介記事で詳しく書いたので興味のある方はそちらを読んでください。)

 実際、制作側も挿絵について重要視していないことが編集担当者のインタビューから見て取れます。

「実は翻訳の際、著者の方は“イラストは変えてしまっても構わない”とおっしゃってくれたのですが、そのまま採用したんです」とは編集担当者の弁だ。「主眼はあくまで“寝かしつけ”。絵に夢中になるというより、言葉を通じてリラックスしてもらうための本なので。結果的には、絶対に眠らせてくれる“魔法の本”という特別なイメージを子供に持ってもらうのに、この絵のクセの強さも一役買ってくれたのでは」

引用元:倉本さおり レビュー10分で寝かしつけ!発売半年で75万部の「眠らせ本」新潮社 週刊新潮

文章も酷い。

 このお話は三人称で書かれているのですが、三人称で書かれた文章はそもそも理解するのが難しく、立ち位置、視点の固定と変更にとても気を使う必要があります。
 しかし、『おやすみ、ロジャー』は視点がコロコロ変わり大人であれば推測し、ついて行くことができますが、子供には大変むずかしい文章となっています。

そして、人物の表記揺れ問題。

 『おやすみ、ロジャー』は主人公ロジャーと読み手である子供が一緒に旅をするお話です。読み手である子供がもとの語りに登場する際には【なまえ】と表記されていて、その部分は自分の子供の名前を入れて読み聞かせるようになっています。

 しかし、これが【なまえ】と表記されていたり、”きみ”とかたりかけるように記述されていたり、同じ登場人物の表記が揺れるのです。しかも、ロジャーが他のキャラクターへ「きみが・・・」と話しかけたり、他のキャラクターがロジャーへ「きみも・・・」と話しかけたり、もう色んな”きみ”が大氾濫。

 大人であれば、前後の文脈からこの”きみ”はロジャーを表してるんだなと推測し理解することができますが、子供はそうはいきません。

 だから、私は”きみ”という表記はすべてキャラクター名に変換して読み聞かせています。(この表記揺れを訂正しても、心理テクニックには影響ないと思うんですけどね。。。)

心理テクニックを重視するあまり、支離滅裂なストーリー

 まず断っておきたいのは、支離滅裂と言っても、ストーリーの大筋とは関係ない部分です。これによってストーリー全体が破綻しているようなことはありません。

 それはお話の導入部分で現れます。

 いろんな音がするけど、それを聞くと、ロジャーも【なまえ】ももっともっとねむくなってきます。あ、ロジャーが寝ちゃう。こんなに早く。いますぐ。もうちょっとで寝ちゃう。さあ、ロジャーときみがいっしょに寝ている姿が、息をするたびに、だんだんくっきり、見えてきました。

引用元:『おやすみ、ロジャー』 p6

 と、さっそくロジャーが今にも眠りに付こうとする姿が描写されます。
そして、その後ロジャーの兄弟がいつもよりも早く眠りについてしまったという記述とロジャーが更に眠ろうとしているという記述が7行に渡りか書かれた後、いきなり・・・

 それでもロジャーは眠くなりません。なんとかしなくちゃ。

引用元:『おやすみ、ロジャー』 p6

 えー!!!ついさっき、もうちょっとで寝ちゃいそうだったロジャー。くっきりと眠っている姿が見えていたロジャーが急に眠れなくて困っているのです。どうして、そうなったのか説明もなく、大人でもついていけません。

 ただ話の展開は全く理解できませんが、心理テクニック上必要な表現を重視するあまり、ストーリーに矛盾ができてしまったのだろうということは推測できます。

 こういった矛盾を放ったらかしにしてしまっている所を見ると「あー、作者はストーリーに力をいれていなくて、どうでもいいとおもってるんだな。」と興ざめしてしまいます。できるならば、なんとか心理テクニックとストーリーの両方を成立させてほしかったと思います。

絵本としての魅力はゼロ!

 作者は絵とストーリーは重要視していないことが分かって頂けたと思います。絵とストーリーは心理テクニックを用いた催眠導入を助ける補助としての役割。
 そのように作られた本ですから、絵本としての魅力、価値は★1つになりますよね。

 実際、アマゾンやツイッターなどに書かれている批判も「話が面白くない。」「絵が気持ち悪い。」「絵が少ない。」「文章が気持ち悪い。」「子供が退屈して聞いてくれない。」など、絵本の内容にダメ出ししているものが多いですね。

これは手品グッズのようなものとして割り切ろう

 作者の制作意図が「寝付きの悪い子供に心理テクニックを駆使して催眠へ導入させよう」ということを理解しましょう。

 要するに子供に催眠術をかけて寝付きの良くなるように暗示を掛けよう!という本なのです。

 催眠術というと怪しいテレビ番組が思い浮かび嫌なイメージを持つ方もいると思います。「子供に催眠術なんてかけたくない!」と思う方はこの本は購入しないでください。

 しかし、私は催眠術というものに嫌悪感をもっていません。病気と戦う一環のなかで、ヒプノセラピー(催眠療法)を受けたこともあります。
 イギリスのキャサリン妃が取り入れていたということで有名になった催眠出産(ヒプノバーシング)も同様のテクニックがつかわれていますね。

 心理テクニックを使い潜在意識へアプローチする行為をどうとらえるかですね。私は上手く生きられるなら、上手に活用していけばいいと思っています。
 寝付きが悪く、子供も親も苦労している人が、催眠療法で良い睡眠がとれるようになるなら使えばいいと思います。

 だから絵本としての魅力はゼロでも、この本をおすすめするのです。

 東急ハンズなどで売っている手品グッズが素人をマジシャンにしてくれるように、この本は読み聞かせする親を最高の催眠術師にしてくれます。

 ただ、アマゾンやツイッターなどに書かれている批判の中に「子供がまったく寝ない。」「まったく効かない。」などのダメ出しも多数存在します。
 なので次回の記事ではそのあたりも含め、次回は絵本としてでは無く寝かしつけアイテムとしての評価をじっくり描きます!

次回の記事はこちら↓
寝かしつけ絵本『おやすみ、ロジャー』娘の反応と効果的な読み聞かせ方

バンザイ

- ブログランキングに参加してます - 1日1回‘ポチッ’をいただけると嬉しいです -

にほんブログ村 子育てブログ 幼児育児へ

スポンサーリンク
スポンサーリンク

0 件のコメント :

コメントを投稿